敷地は中野区をはしるサブの幹線道路の裏手にあり、南側は中高層のビルに囲まれているため南面の日照はほとんど期待できません。建物は家相に従うこと、施主である70歳を少し過ぎた御夫婦とお孫さんの3人で住めること、また終日の充分な日照の確保と外部空間の獲得が条件です。
その解答として、日照と外部空間を獲得できる路地としてのデッキが、2階部分に透けたボリュームとして設けられました。
ふたつの個室は平面及び断面上も最も離れた位置に配置することで、閉鎖度を高めずにプライバシーの確保をはかり、1・2階共引き込み戸によりワンルームとすることを可能としています。このことで、2階の路地(デッキ)及びトップライトからの光は全室に回り込み、どこにいても最大の明るさを得ることができます。
また、このプランニングは、パラレルに配置された階段とエレベーターにより分節されることで、同時に各室の場所を適宜決定しています。こうした配列は単純でありながら、空間にヒエラルキーを与える重要な道具立てとなり、この計画の要となっています。

 東中野の家 データ
 主要用途 :個人住宅
 所在地  :中野区
 構造・規模:RC造
       地上2階
 面積 1階: 78.30㎡
    2階: 74.21㎡
    R階: 5.12㎡
    延床:157.63㎡
       (47.68坪)